期間限定裁判の問題について国会の委員会で反対意見を申し上げてきました
民事裁判においてオンラインによる訴状の提出や裁判所の記録の電子化など、インターネット等の電子技術を取り入れるための民事訴訟法の改正法が、今、国会で審議されています。その中に、審理期間を6か月に限定した裁判手続(法定審理期間訴訟手続)の新設が提案されています。これは、民事裁判のIT化とは関係がありません。裁判所が民事裁判のIT化の検討のなかで提案したことから、改正法のなかに含まれています。
拙速で不十分な審理になるリスクがあることと、裁判を受ける権利を侵害するおそれがあり、外国ではそのような裁判制度は設けていないこと、簡単な事件にしか使えないが簡単な事件は今でも比較的早くに解決しており、制度の必要性がないことなどの理由から、弁護士の多くは反対しています。消費者団体も反対声明を発表し、マスコミも社説で拙速な審理になると警鐘を鳴らしています。しかし、法務省は最高裁の意向を受け、IT化の法案に含めて3月8日国会に提出しました。
衆議院法務委員会は、民事訴訟法の改正に先立ち、参考人の意見を聞くことにしました。2022年3月25日に,4人の参考人の一人として招かれ、意見を述べてきました。私は、期間限定裁判は新設するべきでないとの意見を述べました。委員会での意見陳述と質疑は、衆議院のインターネット中継の録画で、いつでも見ることができます。
URLは、https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=53857&media_type= です。
また、衆議院のインターネット中継の最初の画面から検索するときは、画面の右側にあるカレンダーの3月25日をクリックしますと、当日開催された委員会名が出ますので、法務委員会をクリックしてください。 ここをクリックしてください。→ 衆議院インターネット審議中継(弁護士松森 彬)
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