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2018年6月の記事

2018年6月30日 (土)

評価が高い裁判官、低い裁判官(4年目の調査)

大阪の裁判官の審理の仕方について弁護士が評価した結果が大阪弁護士会の月刊誌(2018年6月号)に掲載されました。この取り組みが始まって今年は4年目になります。どのような意見が多かったかをご紹介します。

 

大阪の高裁、地裁、家裁で民事事件と家事事件を担当している裁判官は全部で204人です。評価は、記録の把握、争点の整理、証拠調べ、和解、話し方態度、判決、総合評価の7項目について5段階で評価します。その理由も記載します。今年は弁護士87人から196通の意見が寄せられました。

 

大阪のような大都会では、裁判官の人数が多いので、一人の弁護士が同じ裁判官にあたることは少なく、1回だけのこともあります。また、評価情報を寄せるのは、大変良かったときか大変悪かったときが多いと思います。そういうこともあり、今年も意見が寄せられたのは、全体の半分弱の84人の裁判官についてでした。

 

複数の意見があった裁判官46人について、特徴を言いますと、評価の高い裁判官と低い裁判官があり、その差が大きいことです。国民の多くの人は、裁判官はみんな文句のつけようがない人ばかりと思っておられるかもしれませんが、そうではありません。上位13人は平均点が4点以上でしたが、下位の6人は平均点が2点台でした。4年間にわたる調査で、上位の裁判官は継続して上位にランクされ、下位の裁判官は継続して下位にランクされる傾向が認められたそうです。裁判官は裁判官の独立を保障するため、10年間は首になることはありませんが、仕事が仕事であるだけに、両方の訴えをよく聞いて、公正で十分な審理をしてもらう必要があります。

 

1位となった裁判官の評価理由には、「毎回、期日前に双方の主張をまとめた暫定的な争点整理案を送付し、当日は認識に齟齬がないかを確認している」、「当事者の話に耳を傾け、気持ちをくみ取ろうとしている」などの意見がありました。

 

また、評価が低い裁判官は、「記録を十分に検討せず、和解を押しつける」、「先入観にとらわれ、心証を固めるのが早すぎる」、「感情的になる。高圧的な話し方をする。」などの理由が付されていました。

 

高裁の裁判官については厳しい評価になっているようです。「説得的な判決であった」とか、「本人の意見も聞いて和解の勧告があり、良かった」などの高い評価がある裁判官がある一方で、「判決が争点に全く触れていない」、「重要な争点であること予告しているのに、取り合おうとしない」などの不満がありました。1回結審が多く、当事者とのコミュニケーションが十分とれていないことも背景にあると思います。

 

大阪高裁と地裁で刑事事件を担当している裁判官は93人です。弁護士47人から164通の意見が寄せられました。項目は、身体拘束、公判前整理、証拠調べ、訴訟指揮、話し方・態度、判決、総合評価の7項目です。2通以上の意見があったのは36人の裁判官についてで、平均4点以上が10人おられる一方、2点台が7人でした。刑事事件を担当している裁判官も、高い評価の人と低い評価の人の差が大きいことがわかります。

評価点数が高かった10人のうち6人は4通以上の情報提供があり、多くの弁護人から共通して高い評価を受けていると言えます。

今回は、評価した理由が書かれていたものが多かったそうです。裁判官の言動を批判する評価がある一方、裁判官の発言やふるまいに弁護人や被告人が感銘を受けたという意見も多く寄せられました。今回のまとめにあたった委員の弁護士は、どのような裁判官が理想的な刑事裁判官であるのかという根本的な問いに対する解答がこれらの意見に含まれているように思うと感想を述べています。

弁護士も、依頼を受けた当事者・国民に代わって、その件の事実経過と法律の適用をわかりやすく裁判官に説明し、当事者とは聴取、報告、協議等を頻繁に行って、早期に適切な証拠と文献などを提出するとともに、相手方に事実の説明や資料提出を求め、裁判官が正確に事実関係と適用すべき法律論を理解し、ましてや誤解をするようなことがないように注意を払い、その事件の迅速で適切な解決に向けて努力すべき義務があります。同じ事件はなく、すべて異なり、代理人・弁護人がすべきことは限りなくあると言ってよいと思います。今年の報告を読みまして、この取り組みは裁判官の仕事ぶりの向上に、さらには弁護士の民事代理人、刑事弁護人としての仕事の反省や向上にもつながるものだとの思いを強くしました。(弁護士 松森 彬)

2018年6月24日 (日)

不動産の共有が紛争になる場合

不動産の共有は、弁護士が扱うことが多い問題です。どんな場合にどういう問題があるかをご紹介します。

不動産を共有にするのは、主に2つあると思います。一つは、相続のときです。もう一つは、親子や夫婦で不動産を買うときです。前者の相続のときは、両親の一人がなくなり、もう一人の親が自宅に住んでいるようなときに、とりあえず親と子で共有の相続登記をしておくことが多いと思います。また、親子や夫婦で不動産を買うときも共有にしますが、このときは、代金を出しあった額に応じて、持分の権利割合を決めておくと、将来問題になりにくいと思います。ただ、親だけ、あるいは夫婦の片方だけがお金を出したようなときは、登記の持分の割合が、そのまま権利の割合を意味するものかをめぐって争いになることがあります。また、土地の共有者の一人が建物を建てて使用しているときなどは、土地の使用権の割合をいくらとするかをめぐって紛争になることもあります。親族の間柄ですから、はっきり決めていなかったり、書類に書いていなかったりするので、もめやすいのです。

共有は、共有者の一人が申し出て、いつでも共有状態を解消する(分割すると言います)ことができます。普通は、共有者の話し合いで決めますが、まとまらないときは、簡易裁判所の調停や、地方裁判所での訴訟ができます。

共有物の分割の方法は3つあります。一つは、現物を分ける方法です。土地であれば、それを分割します。二つは、第三者に売ってお金にして分ける方法です。三つは、共有者の一人が買い取り、他の人にはお金を渡す方法です。親族間ですから、お互いが別々の土地に共有持分を持っていることもあり、そのような場合は、持分を交換して解決することもあります。

共有は、決めるときは親族間の仲がよいときですから、まさか将来もめることになるとは思わず、気軽に利用するのですが、現金・預金と違って分けにくいことも頭に置いておかれるのがよいと思います。そして、登記はできるだけ実質的な権利の割合に合わせておくことや、もし、登記の割合などが実際と異なるときは、書面に書くなどして関係者が認識しておくのがよいと思います。

共有は、親族間のことが多く、多くは話し合いで解決できると思いますが、ちょっとした行き違いで対立することもあります。弁護士に相談して、どうするのが法律的に正しい解決かや、どう話しを進めるのがよいか等を聞いておかれるのがよいと思います。(弁護士 松森 彬)

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