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2016年8月 2日 (火)

どんな裁判官の評価が高いか、また低いか(裁判官評価情報)

大阪弁護士会は、昨年から「裁判官に対する評価情報」を会員の弁護士から集めています。今年は110人の会員から250通の意見が寄せられました。弁護士会月報6月号に報告が掲載されていましたので、ご紹介します。


裁判官の評価については、司法改革の結果、弁護士など外部の意見も裁判所に出せることになりました。ただ、その結果は公表されていません。そこで、弁護士会でも裁判官についての評価情報を集め、裁判制度の向上に取り組むことになりました。


大阪地裁の民事部の裁判官は143人です。そのうち70人について133通の意見があったとのことです。大変良い、良いの意見が計94通、大変悪い、悪いという意見が計14通だったそうです。今回は全体として良い評価が多かったようです。約20年前(1998年)にも大阪弁護士会で裁判官についてアンケートをしたことがあり、そのときは、多数の弁護士がこぞって高い評価をつけた裁判官もありましたが、極めて問題だという意見が多い裁判官も少なからずありました。評価は上と下でかなり差があります。また、裁判所全体の問題としては、裁判所が、限られた人数の裁判官に多数の裁判を効率良く処理させるために、個々の裁判官が多数の証人を呼ぶなどして丁寧に審理することを嫌がるという問題もあります。


高裁の裁判官に対する評価が厳しいようです。高裁の民事部の裁判官は62人ですが、そのうち22人について28通の意見があり、大変良い、良いが計14通あり、大変悪い、悪いが計12通あったそうです。悪いと思った理由としては、「判決の理由がほとんど示されていない」、「不意打ちで地裁判決を覆した」、「和解が強引である」などの意見が挙げられていたそうです。高裁は裁判件数が増えるなかで1回しか期日を開かず、証人調べがほとんどされなくなっています。そのことが不満を生んでいる可能性があります。大阪弁護士会が2012年に行った民事裁判調査でも、高裁に対する不満が多数出ていました。大阪弁護士会は、今年度、高裁問題プロジェクトチームを設けて調査検討を始めました。


評価が高い裁判官について、評価が高い理由を見ると、「熱意がある」、「当事者の話をよく聞いてくれる」、「記録をよく読み、争点を的確に理解している」、「威圧的でない」などが挙げられています。この調査結果は多くの裁判官に知ってもらって、仕事の目標にしてほしいですね。


また、評価が低かった裁判官について評価が低い理由を見ると、「人の話を聞く姿勢がない」、「自分の意向が通らないと不機嫌になる」、「記録を読んでいない」などです。残念ながらそういう方もおられます。


刑事部の裁判官についての回答は民事部の裁判官についてのものより少なかったようです。地裁の刑事部裁判官65人のうち33人について64通の意見があり、高裁の刑事部裁判官28人のうち5人について7通の意見がありました。評価の高い裁判官については、丁寧さや分かりやすさが重視されたようです。また、評価の低い裁判官については、威圧的である、感情的であるなどが理由に挙げられたようです。


アメリカ、イギリスなどでは、裁判官には、多くの弁護士が推す一定年齢以上の優れた法律家が成りますが、日本では、学校を出てすぐから裁判官をさせています。しかし、一旦裁判官になれば、熱心でなくても、あるいはいくら横柄でも裁判官が続けられるというのは問題です。分析の結びに、多くの弁護士から高い評価を得た裁判官による裁判は、当事者にとっても納得性、信頼性が高いと思うと書かれていましたが、全く同感です。この制度は未だ2年目ですが、応援したいと思いました。(弁護士松森彬)

 

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