« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

2016年8月の記事

2016年8月11日 (木)

市町村職員の方を対象にした研修「成年後見制度の概要と市町村長申立の実務」で講師を務めました(弁護士 高江俊名)

先月のことになりますが、大阪府下の市町村の職員の方を対象に、成年後見制度の申立手続についての研修会が開催され、講師を務めました。
 成年後見制度の申立は、ご本人やその親族だけでなく、市町村長が行うこともできます。成年後見制度の利用を必要としていても、身寄りがなかったり、親族が疎遠であったりして、親族による後見申立を期待できない人が増えています。中には、ご本人が親族から財産を侵害されているような場合もあります。そのような場合のために、現在の成年後見制度では、市町村長が後見申立をできるようになっているのです。
 最高裁判所の統計によると、市町村長による申立件数は年々増え続けています。
 認知症などで判断能力が低下した人の生活を支援し、権利を守るために、市町村長による申立が積極的に行われていくことが期待されます。 (弁護士 高江俊名)

| | トラックバック (0)

2016年8月 7日 (日)

「原爆の日」 21万人の市民が無差別兵器に殺されて71年目

昨日(8月6日)は広島に原子爆弾が投下されて71年目になる日でした。原子爆弾という無差別大量殺戮兵器が使われて、ふつうに生活をしていた一般市民が14万人も殺されました。9日には長崎で7万人の市民が殺されました。

広島第2中学校の生徒約300人は数日のうちに全員が亡くなったそうです。数日息があった子どもは、見舞いに来た友だちに「明日は水浴びに行こうや」といい、また、ある子どもは、亡くなるまぎわ、母親が「いっしょに行くからね」と思わず言うと、「あとからでいいよ」「お母ちゃんに会えたからいいよ」と答えたそうです。最近、遺族の手記を朗読した映画「いしぶみ」ができて、全国でいくつかの映画館で上映しているという新聞記事を読みました。

夜は、NHKの「決断なき原爆投下」という番組を見ました。アメリカの軍の責任者や陸軍長官の肉声のテープもあり、内容のあるものでした。

アメリカでは、終戦1か月前に原爆ができました。軍は原爆の威力を試したいと考え、京都が空襲をまだ受けていなかったので効果がわかりやすく、盆地であって効果がでやすいと考え、京都への投下を決めました。私は京都の投下予定地であった京都駅の近くで終戦から1年後に生まれました。もし、京都に原爆が落ちていれば、母も亡くなり、私は生まれていなかったと思います。当時、アメリカでも、原爆投下が無差別殺戮だとして批判を受けないかと心配する意見もあったそうで、軍は、京都駅や紡績工場を軍需施設だと虚偽の説明をして何度も承認をとろうとしました。ただ、陸軍長官(文民)であった人が戦前、京都に2度来たことがあり、承認しませんでした。そこで、軍は、今度は、広島の軍の施設を攻撃するとして大統領の承認をとろうとしたようです。番組は、トルーマン大統領は、女性、子どもへの攻撃を避けたいと考えており、広島への投下が市街地に投下することに気付いていなかった可能性があると報じていました。大統領は、街に何も無くなった広島の航空写真を見て驚いたようです。しかし、その数日後には、大統領は、原爆投下は、早く戦争を終わらせ、双方の国民がこれ以上被害を受けないために意味のあることだったという声明を出します。それがアメリカの世論になり、今も続いているようです。

事実が明らかになるのに71年もかかるのかと思い、暗然とします。しかし、それでも事実がわかることで、将来を考えることができます。NHKの番組は、アメリカでの最近の歴史学者らによる研究がもとになっているようです。学者や報道機関が事実を解明することで、原爆投下に至る真実、そこに見られる軍の暴走の危険、文民統制の必要などが明らかになったと思います。(弁護士松森 彬)

|

2016年8月 2日 (火)

どんな裁判官の評価が高いか、また低いか(裁判官評価情報)

大阪弁護士会は、昨年から「裁判官に対する評価情報」を会員の弁護士から集めています。今年は110人の会員から250通の意見が寄せられました。弁護士会月報6月号に報告が掲載されていましたので、ご紹介します。


裁判官の評価については、司法改革の結果、弁護士など外部の意見も裁判所に出せることになりました。ただ、その結果は公表されていません。そこで、弁護士会でも裁判官についての評価情報を集め、裁判制度の向上に取り組むことになりました。


大阪地裁の民事部の裁判官は143人です。そのうち70人について133通の意見があったとのことです。大変良い、良いの意見が計94通、大変悪い、悪いという意見が計14通だったそうです。今回は全体として良い評価が多かったようです。約20年前(1998年)にも大阪弁護士会で裁判官についてアンケートをしたことがあり、そのときは、多数の弁護士がこぞって高い評価をつけた裁判官もありましたが、極めて問題だという意見が多い裁判官も少なからずありました。評価は上と下でかなり差があります。また、裁判所全体の問題としては、裁判所が、限られた人数の裁判官に多数の裁判を効率良く処理させるために、個々の裁判官が多数の証人を呼ぶなどして丁寧に審理することを嫌がるという問題もあります。


高裁の裁判官に対する評価が厳しいようです。高裁の民事部の裁判官は62人ですが、そのうち22人について28通の意見があり、大変良い、良いが計14通あり、大変悪い、悪いが計12通あったそうです。悪いと思った理由としては、「判決の理由がほとんど示されていない」、「不意打ちで地裁判決を覆した」、「和解が強引である」などの意見が挙げられていたそうです。高裁は裁判件数が増えるなかで1回しか期日を開かず、証人調べがほとんどされなくなっています。そのことが不満を生んでいる可能性があります。大阪弁護士会が2012年に行った民事裁判調査でも、高裁に対する不満が多数出ていました。大阪弁護士会は、今年度、高裁問題プロジェクトチームを設けて調査検討を始めました。


評価が高い裁判官について、評価が高い理由を見ると、「熱意がある」、「当事者の話をよく聞いてくれる」、「記録をよく読み、争点を的確に理解している」、「威圧的でない」などが挙げられています。この調査結果は多くの裁判官に知ってもらって、仕事の目標にしてほしいですね。


また、評価が低かった裁判官について評価が低い理由を見ると、「人の話を聞く姿勢がない」、「自分の意向が通らないと不機嫌になる」、「記録を読んでいない」などです。残念ながらそういう方もおられます。


刑事部の裁判官についての回答は民事部の裁判官についてのものより少なかったようです。地裁の刑事部裁判官65人のうち33人について64通の意見があり、高裁の刑事部裁判官28人のうち5人について7通の意見がありました。評価の高い裁判官については、丁寧さや分かりやすさが重視されたようです。また、評価の低い裁判官については、威圧的である、感情的であるなどが理由に挙げられたようです。


アメリカ、イギリスなどでは、裁判官には、多くの弁護士が推す一定年齢以上の優れた法律家が成りますが、日本では、学校を出てすぐから裁判官をさせています。しかし、一旦裁判官になれば、熱心でなくても、あるいはいくら横柄でも裁判官が続けられるというのは問題です。分析の結びに、多くの弁護士から高い評価を得た裁判官による裁判は、当事者にとっても納得性、信頼性が高いと思うと書かれていましたが、全く同感です。この制度は未だ2年目ですが、応援したいと思いました。(弁護士松森彬)

 

|

« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30