« 2015年10月 | トップページ | 2016年1月 »

2015年12月の記事

2015年12月25日 (金)

世界9月号の民事司法制度の論文について感想を頂きました

 

私は、「世界」(岩波書店)の2015年9月号に「民事裁判の整備を怠っている日本ーこれでは国民の権利は護れない」という論文を書きました。論文の内容は、このブログの2015年8月16日の項で紹介しています。この論文について、弁護士、学者、市民など約20人の方から感想や意見を頂きました。賛同するという意見がほとんどでした。

意見の要旨をご紹介します。(○は弁護士、□は学者、☆はその他の皆様です)。

1「今の民事裁判には問題が多い。日本の司法は貧弱だ、機能の強化が必要だ」という意見を多数頂きました。

○「日ごろから日本の司法の貧弱さ、被害救済機能の低さを痛感しており、同感する記述が多い。司法の強化に微力を尽くしたいと思う」(弁護士)。

○「データに基づいて指摘しているのがよい。」、「弁護士は日々の仕事をこなすのに精一杯で、貧弱な司法制度を所与のものとして諦めているように見える。裁判所は、効率優先の審理を押しつけたり、専門性の高い分野の訴訟では基礎的知識を持たないまま杜撰な判決を書いたりしている。特に高裁のひどさは目に余るものがあり、杜撰な地裁判決も1回結審でそのまま是認している。この論文の指摘を契機に民事裁判が改善されることを望む。」(弁護士)

○「論文に同感だ。高裁の裁判官をしていたとき、人証調べを多くした。そうすると事件の真の顔が見えてきた。現在、弁護士をしているが、裁判所のための民事裁判になっていると感ずる。裁判所が言いたいことだけを言って、当事者の主張に言及しない判決が多い。」(元裁判官、現在弁護士)

☆「論文の意見に同感だ。この国のシステムとして司法の充実が必要だ。行政の肥大化のなかで、これをチェックする司法のシステムが機能不全を起こすのは危険だ。」(公務員)

□「日本では小さな司法制度が意図的に維持されていて、民事司法制度が市民に役立つものになっていないと思っている。論文に賛同する。」、「さらに詳しい論文を出してはどうか」(法社会学者)

○「民事司法の改革・充実は、喫緊の課題だ。」(弁護士)

○「インフラとしての民事訴訟制度の充実が必要だと思う。」(弁護士)

○「日本で裁判が少ないのは非公式処理(ADR)での処理が多いからだと思う。」(弁護士)

○「現在弁護士の増員が就職難などの問題を生んでいるが、日本の民事裁判制度の貧しさが原因になっていると思う。(弁護士)

 

2「裁判官増員などの施策に賛成だ」というご意見が多数ありました

○「一言一句同感だ。必要な5つの施策は、今後の弁護士会の活動の指針となるべきものだと思う」(弁護士)

○「弁護士会が民事司法改革で目指すべき方向が明らかになったと思う。」(弁護士)

○「裁判所の容量が不足していることを正面から論じている。雑誌掲載により、そのことを国民に知ってもらう資料になったと思う。」(弁護士)

○「論文が指摘するとおり、弁護士だけ増やしてもだめで、裁判官も増やさなければ問題点を根本から改めることは無理だと思う。」(弁護士)

□ 「具体的、実証的に議論を展開していて、読者は問題の所在がわかったと思う。」、「なかでも、裁判官の少なさが深刻だと思う。」(政治学者)

☆「法律扶助事業の充実や裁判官の大幅増員が喫緊の課題だと思う。政党が予算措置を含め司法の充実に努力する責任がある。」(国会議員)

☆「刑事裁判は人権の問題に直結するので関心があったが、民事裁判の様子は知らず、関心がなかった。さまざまな問題があることがわかった。やはり刑事裁判と共通する課題も多いと思った。裁判官のものの見方、考え方が気になる。人証調べに熱心な裁判官が、同僚から『あなたは調べないと判断できないのか』と言われたというエピソードが象徴的だと思った。」(市民)

○「司法に携わる裁判官の能力の問題があると思う。容易でないが、司法が公正公平で適切な解決ができるために努力が必要だ。」(弁護士)

 

3「裁判にかかる費用の問題の解決が大事だ」という意見がありました

○「国民が裁判をするときにかかる費用の問題が最重要だと思う。法律扶助は日本だけ貸付だが、早く給付制にすべきだ。法律扶助の弁護士費用も安すぎる。そのことが一般事件の弁護士報酬を低くする方向に影響している。」(弁護士)

○「裁判が使いやすいものとなるよう、印紙代の低額化と弁護士費用保険の普及が大事だと思う。」(弁護士)

 

4「広く市民に司法の実情を知ってもらうことが必要だ」というご指摘を多数頂きました。

○「市民に今の民事訴訟のことを知らせる作業はとても大事なことだ。次は実例に照らして具体的に書いてはどうか。」(弁護士)

○「具体的数字を出した指摘で面白い内容だった」(弁護士)

「弁護士として実体法には関心があったが、司法の在り方については、あまり考えたことがなかった。勉強になった。」(弁護士)

☆「行政にいたとき司法に関心はなかった。司法改革は弁護士の増員を図るものと思っていた。裁判官の増員の必要があることなど知らなかった。」(元官僚)

□「共感するところが多かった。総合誌は読者が法律家にとどまらないので、論文が掲載された意義は大きいと思う。」(法学者)

日本の司法をどう充実、改革していくか、一緒に考えていただけると幸いです(弁護士松森 彬)

|

« 2015年10月 | トップページ | 2016年1月 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30