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2013年12月の記事

2013年12月30日 (月)

裁判所は街のどこにあるか

12月の半ば、横浜の裁判所に仕事で行ってきました。前に赤レンガの開港記念館があり、すぐ近くが海で、大桟橋や山下公園があるなど、港街らしい雰囲気がありました。建物も、昭和初期にできた旧裁判所の外観を保存していて、趣がありました(神戸の裁判所も旧の建物の外観を一部保存しています)。法廷から窓の外を見ると富士山が見え、関東に来ていることを感じました。

裁判で各地の裁判所に行くことがありますが、事件が解決したあと近くを歩いてきたりします。裁判所は、お城がある街では、だいたいお城の隣にあります。東京、名古屋、和歌山、広島、福岡、高松などがそうです。彦根の裁判所(大津地裁彦根支部)も国宝の彦根城の前にあり、何度か天守閣にも登ってきました。姫路や岸和田の裁判所も以前は城の隣にありましたが、建て替えられる際に、駐車場スペースの確保などの理由からと思われますが、他の場所に移転しました。多くの裁判所がお城の近くにあるのは、明治の始めに各地に裁判所を設けたとき、お城の近くに設けられた役所街の一画に設けたためと思われます。明治政府は、江藤新平が「人民の権利を保護」し、「民の司直」となるべき司法の必要性を提唱し、早くも明治5年から各地に裁判所を設けています。

京都の裁判所(地裁)は京都御所の前にあります。県庁の横にあるところも多いようです。今度行った横浜がそうで、他にも奈良、大津など全国に多数あるように思います。

大阪の裁判所(高裁、地裁)は、お城や府庁の近くではなく、中之島の堂島川に面したところにあります。明治時代は、川の南にある大阪市役所の位置に裁判所があったようです。

家庭裁判所は、戦後、家庭事件だけを扱う裁判所として出来ました。ほとんどは地方裁判所と同じ建物内にありますが、大阪や京都では地裁とは別のところに設けられています。なかでも、京都の家庭裁判所は、下賀茂神社の糺の森の一部にあり、裁判所の敷地内を神社からの小川が流れていて、調停室の窓から木々の緑が見え、大変環境の良いところにあります。家庭裁判所制度が戦後できたときの解説書を見ますと、とりあえずは地方裁判所と同じところに設けるが、家庭事件だけを扱う裁判所なので、将来は人々に身近な裁判所として、刑事事件なども扱う地方裁判所とは別にしたいということが書かれています。市民や社会のことを考えて、どのような場所に、どのような裁判所として設けるかを考えようという意気込みが読み取れます。忘れないようにしたいものです。(弁護士松森 彬)

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2013年12月 3日 (火)

知る権利は大丈夫か

大阪弁護士会は、今日、特定秘密保護法案に反対するデモを行いました。弁護士、市民ら約900人がお昼休みを利用して御堂筋を行進しました。

特定秘密保護法案は、11月26日衆議院の委員会で採決され、その日のうちに本会議で採決が強行され、参議院に送られました。M新聞は、社説に、審議入りしてわずか20日目で、あぜんとした強行劇だ、民主主義の土台を壊すなと書いています。

この法律は、政府が国の安全保障にかかわる秘密であるとして指定しますと、それを公務員が漏らしたときは最長懲役10年の厳罰を科すというものです。これまでから公務員法や自衛隊法などの法律でもって公務員が秘密を漏らすことは禁じられています。そこで、さらに厳罰を科す法律が要るのかという問題があります。政府の説明では、過去15年間に公務員による主要な秘密漏洩は5件で、これまでからある法律で十分に処罰できているとのことですから、さらに秘密を封じ込める必要が本当にあるのかという問題があります。むしろ、国民の知る権利が脅かされるおそれが高いことから、報道機関、法律家、学者らが問題があると指摘しています。ここに来て社会の関心が高まり、いろいろな人が声を上げています。

1985年にも国家秘密法案が提案されたようです。そのときは、世論の反対で廃案になりました。その法律案でも、報道目的で情報を収集したときは処罰されないとしていたようですが、今回はその点の明記もありません。Y新聞は、社説で、機密が漏れない法律は要るとしながらも、公務員が萎縮して取材に応じず、報道機関が必要な情報を伝えられなくなるおそれが残るとしています。やはり議論、検討が尽くされていないという意見でしょうか。

もし、このような秘密保護の法律ができますと、政府や行政は今まで以上に事実を隠し、報道機関も取材を自粛するおそれがあるように思います。また、民間人も場合によっては処罰されますので、社会全体が息苦しくなるのではないかとの指摘もされています。Y新聞の社説によりますと、現在、国の秘密文書の9割は情報収集衛星に関する情報らしいです。町工場で防衛秘密につながる部品を作ることもあるようですが、あいまいな法律では、職人が仕事を他人に誇ることも秘密の漏洩だとされかねないと言います。

現在、法案は参議院で審議中です。日経新聞などの世論調査では、反対が半分以上だということです。急に出てきた問題で、どう考えてよいのか分からないという人も多いと思います。法律家からしますと、国民の基本的な人権と国民主権にかかわる大事な事柄であり、国民の多くが議論が不足していると考えている現状で、このまま法律にすることは避けるべきであると思います(弁護士松森 彬)

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