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2013年8月25日 (日)

国民に重い原発廃炉費

原子力発電の廃炉の大変さが新聞に出ていました。ロシアのチェルノブイリ原発のことを前に記事で読みましたが、今回は、イギリスで1993年から廃炉作業をしているトロースフィニッド発電所のことが出ていました(8月19日毎日新聞)。廃炉作業開始から20年経った今も、800人が作業に携わり、施設の解体が終了するまでにはまだ70年かかるようです。その間50年間は放射線量の低下を待つための時間らしいです。稼働した期間は26年間ですが、それよりもはるかに長い期間が廃炉にはかかります。廃炉の総費用は約900億円とのことです。今、最大の問題は、放射能廃棄物の処分先が決まっていないことらしいです。

福島原発の場合は、放射能汚染で作業員の動ける範囲が限られるため、廃炉はさらに困難だという指摘がされています。費用もイギリスの例以上にかかります。福島1~4号機は、これまでに約1000億円を使い、今後汚染水の問題解決と溶けた燃料の回収と保管が必要ですので、費用は「青天井」と言います。

近畿弁護士連合会で、20年程前に和歌山県に原発設置問題があったときに調査をしました。そのとき、学者から「原発はコストが安いと言われているが、廃炉と廃棄物の処理の費用を含めると決して安くないのだ」という指摘を聞いた記憶があります。

それでも、多くの国民は、原発がないと必要な電力をまかなえないとか(現在約30%を原発が供給)、再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力、地熱など)ではわずかしか発電できないとか(2010年時点で8%。ちなみにドイツは17%)、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を削減するために原発も仕方がないとかの意見を受け入れてきました。しかし、やはり安全でありませんでした。地震が多く、狭い国土の日本では、これからの人たちのためにも、このような危険な施設は設けるべきではないという気がします。

原発がなければ、すぐにでも停電になるかのような宣伝を受けてきましたが、他の発電と節電でまかなえることも分かりました。電力の消費量の4分の3は、事業者の消費が占めていて、事業者が真夏のピーク時の消費量を下げれば、原発は不要になるという指摘もあります。2011年3月11日の大震災と福島原発事故で、いろいろなことが分かってきました。従来の政策は、電力会社の意向が強く働き、地震の危険性や原発の問題を指摘する学者の意見や国民の心配は無視、軽視され、その結果、今度の事故につながったと思います。国民が実態や問題を知ることができるなかで、政策決定がなされる社会、システムになっていないのではないでしょうか。そのようなシステム、政治を作っていくことも重要であるように思いました。(弁護士 松森 彬)

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