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2013年2月の記事

2013年2月11日 (月)

韓国で法曹一元制度が導入されました

韓国が、裁判官制度を大きく変えました。日本で戦前から提唱されながら、戦後の民主化の際も、また、この度の司法改革でも、導入できなかった「法曹一元制度」の導入を決め、今年1月から実施されています。

日本では、大学を出て国家試験に通ると判事補になり、5年経てば、一人で裁判ができます。キャリア制と言われます。これに対して、法曹一元制は、一定期間、弁護士や学者などをした人から適任者を裁判官に選ぶ方法です。アメリカやイギリスは、この方式です。法曹一元制の方が、ベテランの法律家が裁判をすることや、官僚制の弊害が少ないことから、日本でも、弁護士会は、この方式の導入を提唱してきましたが、この度の司法改革でも、採用されませんでした。

韓国は、10年前の2003年に、2012年までに裁判官任官者に占める法曹経験者(弁護士、検事等)の割合を半分までにすると決めましたが、法曹経験者は裁判官任官者約100人のうち17人~28人程度にしかなりませんでした。そこで、抜本的な改革が必要であるとの議論が高まり、2011年7月に法曹一元化を決めた裁判所法が成立し、今年2013年1月より裁判官は法曹経験者から採用されるということです。すぐには全員を弁護士から採用することが難しいため、裁判研究員(ロークラーク)の制度を採用して、裁判官の卵を養成するということも行われますが、システムを大きく変えた点で画期的です。

2月2日の土曜日に京都で、韓国の調査に行ってこられた弁護士グループの報告会があり、報告を聞いた日本の弁護士は大きなショックを受けました。韓国で法曹一元になった理由については、さまざまな原因が指摘されました。裁判所に問題があったこと、大統領や政党が司法について政策を持っていることなどがあるようです。

ヨーロッパでも、キャリア制であったオランダやベルギーで、最近は裁判官になる人の半分は弁護士から選ばれているようです。日本の司法改革は、「司法における50年遅れの国民主権の実現」という意味合いがありました。日本の裁判所は、裁判官の能力は高く、清廉、高潔ですが、最高裁を頂点とする組織としての管理体制が強く、国民主権、民主主義という視点で見たとき、かなり硬直化していたと思います。当然、裁判にも影響がありました。刑事裁判に「裁判員制度」が導入されたのも、理由の一つには、国民がもっと司法に参加する必要があるという発想によるものでした。

韓国では、今、他の法律制度でも次々と改革を進めています。日本では、司法(裁判所)は孤立を重視し、政党や国民も、よく分からない世界という捉え方で、司法についての政策を論ずるという状況にありませんでした。しかし、大阪弁護士会が最近行った弁護士に対する民事裁判の調査で、今の裁判には国民から見て問題があることが分かっています。わが国も、裁判所の官僚的な性格を基礎づけている裁判官制度の抜本的な改革が求められていると思います。(弁護士松森 彬)

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