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2012年5月の記事

2012年5月22日 (火)

訴訟法の学会に出てきました

先週の土曜日、京都で民事訴訟法の学会があり、久し振りに出席しました。ほとんどが大学の先生ですが、裁判官や弁護士も多数出席されていました。

現在の民事訴訟法は、1996年(平成8年)に全面改正によってできたのですが、積み残しの課題があったり、制度が機能を発揮していなかったり、外国の制度を導入してはどうかという提案があったりして、改正について研究がされています。

この日、改正の課題として取り上げられたのは、大きく3つあります。

一つは、主張過程・争点整理について、真実義務や、理由付け義務、法的観点指摘義務などを明文化するかどうか(これらは外国の制度の導入です)と、争点整理終了後の失権効を定めるかです(制度のさらなる実効化を目的とするものです)。

二つは、文書提出義務の一般化の徹底です(制度のさらなる実行化を目的とするものです)。

三つは、多数の当事者が裁判に関わる訴訟についての課題です(積み残しの課題です)。

私が、興味がありましたのは、一番目の課題です。裁判の無駄をなくし、迅速に充実した審理を進めるために一定のルールが必要ですので、基本的には賛成です。ただ、いつも思うのですが、裁判をふだんされていない学者が制度を論じ、決めることへの違和感です。医療でいえば、基礎医学の学者だけで臨床の診療方法を決めるようなものでしょうか。実務家でも裁判官の意見はかなり学会に反映されていますが、これまで代理人弁護士の意見の反映は遅れがちでした。しかし、法科大学院ができてから、多くの弁護士が実務家教員として法学に関わるようになりました。今後、立法における状況が変わっていくことが期待できます。(弁護士 松森 彬)。

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2012年5月18日 (金)

裁判員制度が3年を迎えました

裁判員制度が始まって5月21日でちょうど3年になります。今日の新聞(毎日新聞)は、裁判員経験者に対するアンケートを行って467人から得た回答を紹介していました。

「裁判に国民感覚が反映されたか」との質問に経験者の89%が肯定的な回答をしています。また、「裁判員を務めてよかったか」の問いに対しても、96%が「よかった」という答えです。「裁判員制度を続けるべきだ」とした人は81%に達し、「わからない」は14%で、「やめるべきだ」は3%しかなかったようです。

そして、「裁判員を務めた後、事件や裁判への関心が高まったか」との問いには、「大いに高まった」が55%、「ある程度高まった」が40%と9割以上にもなっています。私は、10年前にアメリカの陪審制度の視察に行き、陪審制は「民主主義の学校」だという意見を聞いてきましたが、国民の司法への参加がおおむね目的を達していると感じます。

また新聞には、裁判官10人の感想も紹介されていました。裁判官が今まで以上にやりがいを感じていることがわかります。「さまざまな人生経験をした人の意見を聞くことで多面的な検討につながっている」という声があり、「いろいろな人と議論をするなかで一体感が出てこれまでなかった楽しさを感じる」という感想もあります。私は、今、弁護士から裁判官を選考する委員会の委員長をしていますが、市民10人と弁護士10人で議論をしていますと、同様の充実感があります。

事務所の仲間である高江弁護士が昨年、裁判員制度の弁護人を務めましたが、やはりやりがいがあったと言っていました。国民の司法参加の制度ができるときは、いろいろな心配が聞かれましたが、制度はおおむね順調に育っているように思います。(弁護士松森 彬)

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