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2010年12月12日 (日)

適任の裁判官をどのようにして確保するか

どの裁判官でも同じような結論になるかというと、そのような事件も多数ありますが、かなりの事件で違いが出るように思います。高裁に控訴された事件の約4分の1が一部または全部が取り消されていますが、そのことからも、裁判官による結論の違いをお分かりいただけると思います。

それだけに、裁判官にどのような人を選ぶかは重要です。日本は、司法試験を通って司法修習が終わったあと、裁判官を希望した人を裁判所が面接などして決めます。どの制度にも長所、欠点があると思いますが、全員が大学を出たあと、社会経験がなく、若いときからずっと裁判官というのも、いろいろ弊害が出てきます。アメリカ、イギリスなどは、若いときから裁判官という制度ではなく、知識・経験がある弁護士や学者の中から適任者を選挙や選考組織で選びます。弁護士会は、司法改革の際には、アメリカのような制度(法曹一元制度といいます)の導入を提案しましたが、採用されませんでした。

しかし、日本でも、司法改革により、裁判官の選び方をもっと多様にすることになり、弁護士から裁判官を選考する制度ができましたが、なかなか希望者が出ません。毎年、近畿で1~2人、全国でも一桁の人数にとどまっています。私は、今春から、近畿の弁護士から裁判官を選考する委員会の委員長をしています。委員会は、弁護士の委員20人と市民委員10人で構成されています。このような制度が始まって今年で10年になりますので、それを記念して、11月6日(土)に、「これからの弁護士任官」というシンポジウムを大阪弁護士会館で開きました。近畿の弁護士と任官者が約90人集まりました。常勤の裁判官以外に、調停を担当する調停官という制度もできており、この日は、これからの裁判官と調停官への任官について議論しました。大阪高裁の大野市太郎長官に来賓として来ていただき、裁判所でも研修制度なども用意して待っていますとのご挨拶をいただきました。

シンポジウムに先立ち、これまで近畿の弁護士から裁判官になられた約30人にアンケート調査をしました。多くの方が、判決や和解で解決したときにやりがいを感ずることを指摘され、また、ほぼ全員が生活全般を楽しんでいるという回答でした。弁護士時代に比べて、頭を使うが、気を使わないという意見がありました。面白いご指摘だなと思いました。

いい裁判は弁護士の努力だけでは実現しません。意欲のある適任の人を裁判官に送り出せるように、弁護士会と裁判所の体制を整える必要があります。シンポジウムでは、任官制度をもっと広報する必要があることや、現在のシステムでは、採用されるかどうかわからない段階で仕事の依頼を断って任官申し出をしなければならず、改善する必要があること、また、任官する弁護士とその事務所を弁護士会として支援する制度が必要であることなどが指摘されました。(弁護士松森彬)

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