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2010年9月の記事

2010年9月30日 (木)

民事裁判でも誤判があります

刑事事件で、無実の人について間違って有罪であると判決を出したたときが、冤罪です。捜査機関に責任があることも少なくありませんが、裁判官の判断の間違いという場合もあります。裁判官も判断を誤りますから、民事の裁判でも、誤判があります。

本来、裁判官は、双方の言い分を聞き、証拠を見て判断します。また、弁護士は、裁判官が誤解しないように、裁判官が考えていることを推し量りながら裁判を進めますので、明らかな誤判というのは、それほど多くはありませんが、私が最近担当した事件の判決は明らかに誤判です。当事者の方の思いを受けて裁判所に理解してもらうよう努力してきましたので、判決には大変腹立たしい思いをしました。控訴しましたので、近く高等裁判所で裁判が開かれます。高等裁判所では、ベテランの裁判官が3人で検討してくれますので、判決は是正されると思っています。

判決を読みますと、誤判の原因がある程度わかります。

一つは、法律学では要件事実というのですが、その法律問題の要件をきちんと踏まえていないためです。裁判官は一人でいつも200件くらいの裁判を抱えていて、よく考える時間がないことが影響している可能性があります。特に、最近は、裁判を早くするようにとの要請がありますので、十分に考えない判決が出る危険があります。

もう一つは、この裁判官は証拠を丁寧に見ていないことです。弁護士が書面で重要な証拠を指摘していたのに、それを無視して、自分でシナリオを考えて、それに合う証拠だけを都合よく拾い上げています。今、大阪地検で検事が自分で考えたシナリオに沿って進めるために証拠をねつ造した事件が問題になっていますが、裁判官も、証拠を丁寧に見なければ、同じ危険があります。捜査が劣化しているという指摘があるようですが、最終判断である裁判まで劣化してきたのかと、慄然とします。

民事裁判は、刑事裁判に比べて、誤判のあることがあまり知られていませんが、地方裁判所の判決が高等裁判所で取り消される率は、結構高く、一部の変更も含めますと、4分の1にもなります。誤判があると国民は大きな被害を受けます。誤判が出る原因を明らかにして、そのようなことがないようにするにはどうすればよいか、弁護士会と裁判所で議論を重ねる必要があると改めて思いました。 (弁護士松森 彬)

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