民法をどう改正するか
民法は、国民の財産や契約、そして離婚、相続のことまで幅広く決めている基本的な法律です。全部で1044条ありますが、そのうちの債権法の部分を全面的に改正する議論が始まっています。
今日は、弁護士会で、内田貴先生という法務省参与(前東大教授)の研修会がありました。
民法ができたのは明治29年で、その後100年以上経っています。途中で何度も改正がされていますが、財産法の基本的な体系は当時のままです。内田さんは、改正の目的について、「明治にできた条文の定めは抽象的であるため、判例で妥当なルールを作ってきたが、法律家だけがわかるのではなく、条文にして国民にわかる民法にしようというのがねらいだ」と言っておられました。
ヨーロッパで民法の改正の動きがあり、学界ではかなり前から議論がありましたが、具体的には2006年から学者を中心にして検討が始まり、今年(2009年)4月に、学者グループの案がまとまりました。この後は、法制審議会で検討がされます。
弁護士会は、社会の実情を踏まえた検討がなされるべきであるとして、弁護士、裁判官など実務家の参加を求めてきました。消費者法をどれだけ取り入れるか、あるいは時効制度や約款の問題など、市民生活に直結する問題がたくさんあります。秋から始まる法制審議会には弁護士からも委員が出て検討することになります。また、議論の状況を皆様にお伝えしたいと思います。
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